広告市場から見るメディアとその動向

広告市場から見るメディアとその動向

今回は、広告会社らしくメディアの現状を分析しつつ、今後の広告市場の動向やトレンドについて考察していきます。メディアについては多種多様な切り口がありますが、ここでは広告市場からみたメディアの変遷を中心に考えていきます。

(1)メディアとは

そもそも論ですが、メディアとは何でしょうか?
メディアと聞くとTV・新聞などの具体的な媒体名が何となく連想されると思います。
広告業界的に考えると情報を伝達するための手段ごとに…、

①紙媒体(新聞、雑誌、書籍等)

②電波(TV、ラジオ等)

③インターネット(WEB,SNS等)

④その他(屋外広告、折込、DM等 ※下図ではプロモーションメディア)

の4つにまとめられるかと思います。

我々、広告代理店はこうしたメディアとクライアントとの間に立ち、広告案件ごとに最適と思われる媒体選定、スケジュール調整、クリエイティブ制作などをおこなっていく仕事になります。

 

(出典:dentsu 日本の広告費2020 https://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/)


各媒体の特徴を簡単に述べると、

①紙媒体
 手元に実体が残るのが大きな特徴で、コンテンツと広告内容の親和性が重視されるイメージがあります。

②電波
 同時・大量にリーチできるという点が最大の利点です。費用は莫大ですが、リーチ力も随一という面があります。但し、昨今の多様化の中で優位性は薄れつつあります。

③インターネット
 言うまでもなく現在最も隆盛を極めており、今後さらに変化・進化していく媒体です。双方向性・情報発信コストの高効率性・情報の保持性などから社会構造そのものも大きく変えています。

④その他
 上記3つとは異なり、その範囲が広く、平たく言うと販促費という捉え方になります。屋外・交通広告や広告以外のキャンペーンやクーポン発行などもここに含まれるため、消費者の実生活に密接に関わるという点が大きく異なります。生活実態や地理特性に最も影響される分野とも言えます。

 

(2)日本の広告マーケットの特性

広告という「情報」を消費者に伝達するサービスの特性上、情報発信を生業とするメディアと広告は密接な関係があります。
インターネット登場前、電波媒体が広告の主流を占めていた時代、日本は世界最高の広告マーケットを有していたと思います。

狭い国土に平均所得が高い人間が1億人以上暮らしている、それだけで情報発信の効率が良いというのは想像できます。さらに海外では人種・宗教・文化・言語・歴史背景、地域などで細かくコミュニティが分かれ、対立する事も少なくないですが、日本は世界でも稀な社会構造の「単一性」や「同調圧力」が強い国です。

まとめると、狭いエリアに高所得かつ似たような価値観の人々が暮らす世界有数の「おいしいマーケット」と言えます。

この日本独自のマーケット特性は、同時大量リーチが可能な電波媒体との相性が抜群に良く、TV・ラジオで取り上げられるとその広告効果は凄まじいものがありました。
ただ、電波媒体は情報発信コストが非常に高く、国の免許事業になる為に事業として関われる者も極めて少数となります。
そのため、この「おいしい市場」は某大手代理店やキー局により長らく寡占されてきました。


このデータからわかる通り、「凋落する4マス広告と伸長するネット広告」という図式が続いていましたが、2019年には遂にTV広告費がネット広告に抜かれました

理由は単純で、ネット広告の広告効果が他メディアより優れており、多くの広告主がネット広告にシフトしていったからです。
その間、メディア側もクロスメディア展開を模索するなど様々な手を打ちましたが結果的にこの流れを止められませんでした。

インターネットが普及し始めた事により、大きく2つの変化が見られました。

まず、爆発的に情報流通量が増加したことにより、消費者の可処分時間の奪い合いが始まりました。

また、多様な情報発信者の登場で多種多様な価値観が提示され、社会の多様化が促進されていきました。

電波媒体は同時に大量にリーチできる点に優れたメディアですが、こうした状況に適性が高いとは言えません。
価値観が多様化した状況下では、ワンメッセージを広範囲に発信するマスメディアは無駄が多く社会状況に即さなくなりました。

現在の広告市場は多彩な消費者グループの集合体というイメージが近く、個々人が膨大な情報に囲まれ、その情報処理に追われているので負荷や労力を嫌います。

(4)多様化社会への対応

こうした社会変化にメディア側も対応する動きが出てきています。

分かり易いのがTVの番組編成です。
2020年3月より、それまでの世帯視聴率に加えて「個人視聴率」が算出されるようになり、番組ごとの視聴者層が見えるようになってきました。

その結果、高視聴率番組でも高齢者が多数を占めるケースが多く、実は広告スポンサーのターゲットと乖離している事が判明し、これにより番組編成が様変わりしました。

具体的には、より購買力がある若年層・ファミリー層に向けた番組作りが推進され、各局「お笑い番組」等の若年向け番組が増加し、ユーチューバーなど若年層に人気がある出演者が増加しました。

他のメディアも多様化に併せ、細かくターゲットを設定した企画・製作を実施しています。
情報発信においても、積極的にネットで情報を発信し、「メディア→ネット→メディア」というように、情報を循環させて視聴者を呼び込む動きも盛んになってきています。

 

(5)インターネット広告の特性

現在のビジネスにおいて最重視される資源は「時間」であり、旧来の消費者の「所得」の奪い合いから「時間」の奪い合いにゲーム内容が変化したのは論を待たないと思います。

そうした中で、インターネット広告の特徴の中で以下3点が特に重要だと考えます。

1. ネット上のユーザー動向から、詳細なターゲティングが実施でき、広告効果測定を数値で可視化できる。

2. 消費者はPC・スマホで広告に接する為、閲覧・購買・拡散などの反応行動を手軽に実施できる。

3. 広告発信・内容の変更が機動的に行えるの効果的・効率的な運用が可能。

以上の特性を踏まえると、従来の広告手法よりあらゆる局面で無駄が少なく、広告主・消費者にとって「時間」のかからない広告と言えます。

この点が、インターネット広告が現在のマーケットに適して伸びている大きな要因だと考えます。

 

(6)メディアのこれから

(出展:Cisco VNI)


現在、情報流通の主流はインターネットに移ったことは間違いありません。

まだマスメディアとネットが並立している状況ですが、今後はネットが完全に主役となり、他メディアが補完する形に移行すると思われます。

ネット上の情報は、基本的にはどこからでもアクセス可能で劣化しません。古今東西の情報をネット上で世界中が共有する時代が始まっています。

その過渡期の2021年現在、日本の70年代シティポップが海外で流行し、劇場版「鬼滅の刃」がアメリカで異例の興行収入を記録するという現象が起きています。

そもそも日本の音楽は海外ではほぼ流通しておらず、劇場版「鬼滅の刃」に至ってはTVシリーズの続編にあたる為、かつてはヒットどころか海外での公開すら難しいはずでした。

旧来では考えにくかったこれらの現象は、いずれもYouTube、NETFLIX等のネットメディアを通じて簡単にコンテンツにアクセスできるようになった事が大きな要因です。

ネット上に情報が集約される事で、地域・言語・時間など様々な制約を超えて情報に接する事が可能となってきています。
ネット以外のメディアは情報集約されたネットを補完する立場となり、その役割は今後大きく変わっていくと考えます。

また、情報処理については明らかに人間の限界を超えている為、AIを用いた情報編集機能が一層進化して行くと思います。

ネット黎明期に、プラットフォーマーによる検索エンジン競争が起きたのと同様、次世代の情報流通の覇権を握るのはAI開発競争を勝ち抜いたサービスになるでしょう。

我々もこうしたテクノロジーの進化とそれに対応する社会の動きに順応していけるかが生き残りのカギだと思います。

 

プロモーション担当

I.S

様々な業界を見てきた経験をベースに、独自の分析と推測を組み合わせながら最適化をめざします。80-90年代ロックシーンには、一過言あり。

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