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スピード感を持ったデジタルと、ゆっくりと進化してきたアナログ人類。テンポの異なる道具を手に、期待感と戸惑い・不安が交錯する日々。それでも私たちの暮らしは少しずつ変化しています。
自然はゆっくり、デジタルは超高速。
私たちホモ・サピエンスを含め、植物や生物は地球誕生以来、とてもゆっくり進化してきました。一方、第2次世界大戦中にエニグマと、それを解読するために発明されたBombeが登場し、たった100年の間にデジタル・テクノロジーはものすごいスピードで進化してゆくとともに、私たちの生活に目まぐるしい変化をもたらし続けています。25年前に死んだ私の祖母がいま生き返ったら、目ぇ回してあの世にトンボ帰りするんちゃうかな、とふと妄想する瞬間があります。
それはさておき、今年はドバイ万博、そして2025年の大阪・関西万博が開催されます。いずれもデジタル・テクノロジーを中心とした新たな技術・手法・プロセスの展示が行われ、その中には私たちの生活を変えるものがあると期待されます。
まずは万国博覧会について考えます。技術革新は毎日起きており、少しずつ変化していきますが、時に大きなインパクトをもって社会に変革をもたらす瞬間があります。疫病や天災もそうですが、万博もその1つだと考えます。
日本が初めて参加した1867年のパリ万博には江戸幕府、薩摩藩、佐賀藩がそれぞれ出展しました。幕府から派遣された訪欧視察団の随員の一人には渋沢栄一がいました。彼は開国後の日本において実業家として活躍し、社会インフラを整えるために貢献した一人です。パリ万博で目にした技術やサービスを持ち帰り起こした彼の事業は、近代日本の礎を築きました。
それから103年後の1970年、大阪・吹田で開催された万国博覧会。人々が初めて目にしたのは、サインシステム、動く歩道、モノレール、リニアモーターカー、電気自転車、電気自動車、テレビ電話、携帯電話、缶コーヒー、ファミリーレストラン、ケンタッキーフライドチキンなど、21世紀の現代社会で普及している製品やサービスでした。
そして現在、デジタル・テクノロジーの進化に伴って少しずつ変化していた私たちの生活は、新型コロナウィルスの登場によって以前より少しだけ早く変容しています。このタイミングで迎える2025年の大阪・関西万博によってこの変化はさらに速度を上げるのでしょうか。
大阪・関西万博で展示されるテクノロジーによって、私たちの生活はどのように変わるのでしょうか。2025年5月3日の大阪・夢洲にオープンするのは「未来社会の実験場」です。今回の大阪・関西万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、人類共通の課題解決に向け、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信する場となるようです。AIやXR(VR/AR/MR)、5G、ブロックチェーンなどのデジタル・テクノロジーの活用方法が期待されます。それらによって、近い将来の私たちの生活にどういった変化をもたらすでしょうか。
①2025年ごろまで
5Gの推進とともに生活がデジタル化されることにより、そのデータを活用したパーソナライズされたサービスが普及し、場所や時間を超えて高品質のサービスが提供されるようになる。
②働き方が変わる
リモートやサイバー空間での打ち合わせを行い、AIの活用によって新たなアイデアが生まれたり、専門的なスキルや調査結果が即時に共有される。また、デジタル・ネイティブの世代が加わることで知識やスキルの逆転が起こり、人事評価などの評価軸が変化する。「就社」から「就職」に変化する人が増え、自分のスキル・価値を国境を越えて複数の企業や仲間へ提供するようになる。
③街歩きが変わる
街歩きは、個人の行動・思考・趣向を察したデジタル・テクノロジーに誘導される。行きたい場所や好きそうなお店への道順が目の前の空間に表示される。また、パーソナルモビリティを実現するロボットやloTが社会に浸透し、足腰の悪い人や障がいのある人も自分で自由に移動することが可能になり、生涯を通してアクティブな行動ができる。リアルとバーチャルの融合が当たり前になると、そこでしか味わえない自然の豊かさや景観、伝統芸能や体験、文化がより重視されるようになる。
④生活が変わる
人の動きや蓄積された生活行動データ、気温、時間、季節、天気などから、AIが判断して空調や照明、音楽など室内環境を最適に調整する。私たちはAIやロボットなど複数のデジタル・テクノロジーと共生し、生涯を通じてバイタルやメンタルの状況が把握できるようになる。
デジタル・テクノロジーの進歩によって、私たちの暮らしや働き方、価値観、そして社会のありようも少しづつ変化していきます。まるで幕末から文明開化にかけての大騒ぎの時代みたいです。
最後に、デジタル・テクノロジーの進化によって、これまでの生活や生き方が様変わりするのは明らかです。それは、大地から木々がモリモリと生えてくる事のように止めることはできません。しかも、超高速で生えてきます。それを恐ろしいことと捉え避けていくか、生きるための道具の1つと捉え、上手く使いこなしていくかを選ぶのは個人の自由です。
100%自然由来の私たちの脳(思考・思想)はゆっくりと進んでいくので、デジタルの超高速には追い付けないでしょう。ただ、生き残るのはいつでも猛者ではなく適応していく者です。ゆっくりでいい、正しく理解してゆけば「スピード感をもった超絶記憶力のいい、計算できるやつ」は私たちの困りごとを解決するための道具としてメッチャ働いてくれると思います。
では、デジタル・テクノロジーを手にした私たちに出来ることは何か、私たちにしかできないことは何か、ゆっくり考えていきませんか。
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