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賛否両論渦巻くオリンピックが開始されましたが、皆さん楽しめましたか?
本稿を書いている時点では開催前ですので、何が起こったかは分かりません。無事を祈るばかりです。
さて今回は、その混乱の原因であるコロナにより、スポーツ界にどのような影響があるのかを考察していきます。
まずは、スケジュールへの影響について見ていきます。
言わずもがな、種目を問わず大混乱をきたし、中止・延期・代替開催等が目白押しで関係者の努力が偲ばれます。
その総決算が今回の東京五輪です。
他にもコパアメリカ(南米大陸のサッカー選手権、日本でいうアジアカップ)もコロンビアとアルゼンチンの共催予定でしたが、1年延期の上、コロンビアの政情不安とアルゼンチンのコロナ禍により直前で両国がキャンセルしたためブラジルに変更されています。
国際的な自動車レースF1も、開催不能な国が出てきた結果オーストリアの同一サーキットで2週連続開催という変則的な開催日程になり、その後についても一部で開催国が決定できずに流動的な状況が続いています。
これらは国際的なイベントで、かつ莫大な予算を掛けた巨大ビジネスとしての側面もあるので、相当な無理を重ねて開催にこぎつけていますが、そこまでの大金が動かないスポーツイベントや学生スポーツについては大多数が無くなってしまいました。
こうして見ると、オリンピックが何故開催されたのかがよくわかります。
現役選手も甚大な影響を受けましたが、それ以上に懸念されるのが育成年代への影響です。
各種目のユース年代においても、学校の部活動・スポーツクラブが活動できない状況になり、今後は以下の2点で大きな影響が出てくると予想されます。
各種目で日常的に有力選手の発掘活動は行われてきましたが、コロナによりストップしてしまいました。
この一年は、今までストックできていた情報・データで乗り切れましたが、さらに長引くと相当難しくなります。
スカウト活動は、その時点のパフォーマンスと同時に継続的な観察から個々の選手の成長力を見る側面もあります。
この点において、今回の活動の断絶は選手登用を非常に難しくすることは間違いありません。日本スポーツ界において、最も有名なスカウト活動発表の場であるプロ野球ドラフト会議は、以上の理由から選手獲得の裏付けが難しく、有力選手への指名の集中、下位指名の早期切り上げが想定されます。
また、そのスカウトに見いだされる選手の側も、特定の年代において甚大な被害があるかもしれません。いわゆるゴールデンエイジと呼ばれる小学校中・高学年あたりの年代です。
この時期は運動神経が一生の中で最も発達する時期であり、競技能力の大幅な向上が見込まれる期間です。
この時期を、コロナで十分なトレーニングが積めなかった結果、どのような影響が出るのか継続的な調査・検証が必要です。
選手の育成面での悪影響は計り知れず、長期的にみて、スポーツ業界にコロナの影響が最もでるのはこの部分だと個人的には思います。
経営への悪影響は、業界を問わず連日報道されていますが、興行の側面を強く持つスポーツ業界もモロにダメージを受けています。例を挙げればキリがないのですが、ここでは個人的に最も悲惨だと感じたイタリアのサッカークラブの例を紹介します。
【常勝軍団の変革】
ここで取り上げるのは、ユベントスというイタリア・セリエAに所属するクラブです。
簡単に紹介するとイタリア国内で120年続く超名門クラブで、2021年の直近10年間で9度優勝という圧倒的な強さを誇ります。
実績が示す通りイタリア国内で圧倒的一強体制を築く絶好調の中、2017年よりリブランディング戦略に取り組み出しました。当時のユベントスの収益に占めるグッズ販売の比率はおよそ30%に対し、他のビッグクラブ(バルセロナFC,リバプールFC等)では50%を超えており、その分で収益力に差が出ていました。
言い換えれば、グッズ販売について大きな伸び代があり、その為にリブランディングを行い、イタリアの一ローカルクラブから脱却してグローバル展開を行うエンターテインメント企業への脱皮をめざす事がこのプロジェクトの最終目的だったと思われます。その為に、NYのブランド開発企業に依頼しクラブの顔ともいうべきエンブレムを変更します。
上記の変遷を見ればわかる通り、過去の物から完全に一新しており賛否両論を巻き起こしました。他クラブでこれほど大きな変更を行うとファンの暴動が起こったかもしれません。そして翌2018年、リブランディングの象徴としてクリスティアーノ・ロナウドを4年総額約300億円(移籍金+総年俸)で迎え入れます。すでに選手としてはピークを越した感はありましたが、未だ世界屈指の競技能力に加え、Instagramのフォロワー数世界一が示す通り、彼の人気・知名度を利用したマーケティング面での貢献も期待された大型契約でした。
上記のように進めてきた球団の命運を懸けた一大リブランディング事業は、その直後にコロナ禍に見舞われて計画の大部分が頓挫、見直しを迫られる事になってしまいました。また9連覇中だった国内リーグも、監督を指導経験の浅いクラブのレジェンドOBに挿げ替えた結果、10連覇を逃し最悪の2020-2021シーズンとなりました。惨憺たる状況です。
ここまで色々と見てきましたが、今回のコロナ禍はポジティブな面がほぼありませんでした。競技・トレーニング・観戦とすべての面に著しい制限が付きまとう事になり、長引くほど将来に渡り大きな影響を及ぼします。
プロ・アマ問わずスポーツ活動が制限されることで、
①競技能力の低下、②スポーツビジネスマーケットの縮小、③運動機会の喪失、以上三点がその悪影響の代表例です。
いずれも文化・経済・健康に甚大な影響を及ぼすもので早期の解決が望まれます。
我々に出来る事は、感染予防対策の徹底と可能であればワクチンの接種を行う事、そして競技者へのサポートだけです。
医療の進化による治療法の確立・治療薬の開発が待たれます。
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