現代サッカーの基礎知識

現代サッカーの基礎知識

今年2022年はサッカーのW杯イヤーです。例年であれば6月から7月にかけて行われますが、今回は開催地であるカタールの気温を考慮して11月21日開幕のイレギュラーな開催となります。
そこで今回は、ここ10年余りで急速に進化したサッカー全般ついて、基礎的な部分を見ていきW杯観戦に備えて頂ければと思います。

(1)急速に進化したサッカー

20世紀終盤にITの進化とグローバリズムが社会・経済を大きく動かしたように、サッカーもまた、大きな変化を遂げました。経済のグローバリゼーションでは、途上国の未開拓市場と労働力を求めた大企業が進出し富を集積しましたが、サッカー界でも同様に世界中のフィールドにヨーロッパの有力チームがスカウト網をめぐらし、選手をかき集めるようになりました。

有名な話として、リオネル・メッシは13歳の時、アルゼンチンからスペインのバルセロナに、成長障害の治療費と家族の移住費用をチーム持ちで入団しています。特に南米とアフリカは競技人口が多く、地理的にヨーロッパと近い為、有望な若手選手の草刈り場となっています。
以上のように、ヨーロッパに有力選手が一極集中して、その他地域とは隔絶した競技水準になっています。

選手の一極集中と同様に大きな変化をもたらしたのは「情報技術」の発展です。世界中のサッカースタジアムで起こった事が数値化され、瞬時に共有されるようになり、急激に戦術・トレーニング・コンディショニング理論が進化しました。
言い換えると「試合以外の時間の使い方」というフィールド外での日常に革命的な進化が起こりました。アスリートとして身体的強度への要求は日増しに高くなり、自己管理・節制・勤勉さがないと現代サッカーでは大成する事はほぼ不可能となりました。

また、資金についても大富豪、ファンドの投機マネー、大企業(レッドブル等)、国家(カタール、UAE等)など世界中から資本が集まるようになりました。経済的側面からみたサッカーの市場規模も急速に膨張しており選手の移籍金・給料・放映権料なども天井知らずで上がり続けています。

以上のように、サッカー界においてはヒト・モノ(情報)・カネがヨーロッパに継続的に集積し相互に影響を与え続ける事で今なお急激な進化を続けています。

(2)科学が変えるサッカー

では、ヨーロッパでは世界中から資金と選手が集まった結果、どの様にサッカーは進化してきたのでしょうか。以下3点に絞ってみていきたいと思います。

①フィジカル能力の向上による時間とスペースの極小化

情報処理技術の向上により、選手のゲーム中の動きが計測可能となり、プレー内容(移動距離や速度・パスの速度・成功率、ボール保持時間など)が数値で表わされる事で、ゲーム内容を定量的に捉える事が可能となりました。また、フィールドをエリアで区切った分析も進み、ゲーム毎にどのエリアのプレーがゴールへの相関関係が高いか、いわゆる「危険なエリア」についても可視化されるようになりました。

守備戦術は危険なエリアへ対処を行う為、選手により運動量やフィジカルコンタクトの強さを求め、攻撃戦術はそのプレッシャーを避けるために別エリアからの攻撃手段を開発していきます。その結果、攻守の戦術が相互に進化を促し続け、現代サッカーにおいては自由にプレーできる時間とスペースは極端に減り続けています

②選手のマルチタスク化
従来であれば、FWは攻撃・MFがゲームメイク・DFが守備のように、ポジションごとに主なタスクが振り分けられていました。チーム戦術が進化した今日では、FWも前線からプレスを掛けて相手の行動を制限し、中盤にはスタミナとフィジカルに優れた選手が配置され更に相手の自由を奪います。
結果、攻撃の開始点は守備ラインにまで押し下げられ、DFに攻撃の組み立て役としての技術や戦術眼、高いキック精度が求められるようになりました。
GKにも足元の技術やビルドアップ能力、DF裏スペースのカバーなどフィールドプレイヤー的タスクが追加され、チームによってはキーパーからの直接アシストを戦術に組み込んでいるチームもあります。
このように、現代サッカーにおいては全選手が攻守両面において高い貢献を求められます。選手のマルチタスク化が一般的になると、守備をしないゴールゲッターは相手に時間とスペースを与え、守備にだけ強いDFもボールを持たされて、ボールの奪い所として狙われる事になり従来型の選手はチームの明確な弱点となりました。

③戦術の急速な進化 
サッカーは野球のように攻守が明確に分かれておらず、一瞬で攻守の局面が入れ替わります。
その為、
①攻撃(ボール保持)
②ネガティブトランジション(攻撃から守備への切り替え)
③守備(ボール非保持)
④ポジティブトランジション(守備から攻撃への切り替え)

と4つのサイクルでゲームを捉える事が主流となっています。(図参照)

以上を踏まえ、「ポジショナルプレー」「ストーミング」というサッカー界を席巻した2つの戦術について見ていきます。
どちらも、詳細に解説すると難解になりすぎるので、かなり大まかに触れます。
まず「ポジショナルプレー」は「パスをつなぐ」、「ストーミング」は「カウンターを狙う」サッカーとして大まかに認識して下さい。
「ポジショナルプレー」は名前の通り、選手のポジション=「位置取り」を重要視しており、局面ごとの位置・動き方などを細かく規定してチームに落とし込みます。その結果、攻守両面においてチームの共通理解に基づいたプレーが可能となります。ボール保持時には、パスコースが増えてビルドアップからフィニッシュまでがスムーズになり、ボールが奪われた際は素早くプレスを掛ける事が出来る体制・位置取りになっている事を目指します。ボールを持って動かし、それにあわせて選手も位置取りを変えパスを繋いでゴールを目指す、ボールを奪われても素早くプレスを掛けて奪い返しまた組み立てなおす、こうしたプレイスタイルが「ポジショナルプレー」の大まかなイメージとなります。

論理的に試合を組み立てる「ポジショナルプレー」に対し「ストーミング」は試合に混乱を産み出し、そこに付け込んで攻め入るというイメージになります。
ボールを相手の守備が手薄なエリアに蹴り込み、相手がボールを持ったとしても猛烈なプレスを仕掛け奪い返す、もしくは無理なパスやボールロストなど致命的なミスを誘発しゴールを目指します。カウンターサッカーと先述したのも、このようにボール保持に全くこだわらずに前線からプレスを掛けて奪い返す事を前提としている為です。

現在では、この2つの異なるアプローチを相手や状況にあわせて使い分ける事が求められ始めています。ヨーロッパの主要クラブではこうした「状況への適応」を重視してチーム戦術やトレーニングに取り入れる事が主流となりつつあります。
(興味のある方は、「ディファレンシャルラーニング」や「エコロジカルアプローチ」について調べる事をお勧めします)

(3)代表とクラブチーム

話をW杯に戻します。
W杯は4年に一度各地域の予選を勝ち抜いた各国の代表チーム同士が戦う最高峰の舞台です。では、代表チームの最高峰とクラブチームの最高峰どちらが強いのでしょうか?
一昔前までは、非常に難しい問いだったのですが、現在では明確にクラブチームの方が強いと言い切れます。

先述した通り、ここ約20年間でサッカーの文化的土壌と資金力に優れたヨーロッパに世界中の才能と資金が集中しました。結果、競技としては爆発的に進歩しましたが、各国の代表においてエースクラスの選手ですら試合に出場できないケースが頻発しています。日本代表でも南野選手がイングランドのリバプールに移籍後、先発としての出場機会に恵まれず今年フランスリーグのモナコに移籍しています。

このようなケースは珍しい事ではなく、数十億円、100億円を超える移籍金が掛かった選手がチーム内競争に敗れたり、チーム戦術にフィットせずに移籍という事は各チームで毎年発生しています。(再度の移籍先で輝きを取り戻す事も多々あります)

世界的に人材と資金が集中するヨーロッパのクラブチームは、言うなれば世界選抜チームです。
また、各クラブにはその歴史・文化的土壌と監督の戦術を組み合わせたゲームモデルが構築され、そこに沿った非常に高度なプレーを要求されることになります。

翻って代表チームは、各国家レベルで選抜して集めた選手を、代表招集期間の僅かな時間を使ってチーム構築を行います。その為、人材・戦術的な練度の面でどうしてもクラブチームに劣ってしまいます。そこで最近では、各国のトップクラブチームが代表チームの母体になっているケースも散見されます。

では、代表戦の価値が低いかというと全くそんな事はなく、やはり国を背負うプライドからくるモチベーションは凄まじいものがあります。特にW杯のような短期決戦では鬼気迫るものがあり、クラブチームでは見られない限界を超えたプレーが随所で見られるのがW杯の醍醐味だと思います。

(4)来るべきW杯に備えて

恐らく私も含めた大多数は日本代表を中心にW杯を見ると思います。単純な戦力比較だとドイツ・スペインがいるグループEでは予選グループ敗退が順当な結果です。当然、そこに対して森保監督は対策を立てているはずで、世間の評判通りの指揮官なのか、評価を一気に覆すのかが個人的には一番の見所だと思います。(これで特段の対策がなくこれまで通りの試合内容というのはプロとしてあり得ないと思います。)

楽しみ方は人それぞれですが、予備知識が多い方が楽しめるのは間違いありません。
W杯に向けてこの記事が少しでもその一助になればと思います。

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I.S

様々な業界を見てきた経験をベースに、独自の分析と推測を組み合わせながら最適化をめざします。80-90年代ロックシーンには、一過言あり。

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