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コロナ禍における建設業界の動向にについて、業界特有の内部事情を紐解きながら、アフターコロナにおける業界予測を交えて考察します。
弊社はスポーツ新聞の求人欄を取り扱っており、その御縁でスポニチと共同で「架橋」という建設業界を取り上げたフリーペーパーを発行しています。建設業界はリーマンショック時に大きく仕事量が落ち込み、職人の失職と新規採用の抑制が行われた結果、構造的に高齢化が進んだうえに人手不足の状況が続いています。「架橋」はそうした状況を変えるべく現場に焦点を当て、現場で働く姿や職人のやりがいをお届けしています。そうした関係上、弊社は建設業界とは比較的関わり合いが深い広告代理店です。本稿では、そうした立場から新型コロナウィルスがどのような影響を建設業界に与えていくか、弊社と関わり合いが深い工事会社を中心に考察していきます。
建設業界と一口に言っても、設備・塗装・電気・大工・鉄筋など職種が非常に幅広くあり、それぞれが徒弟制度の名残を残した縦社会を形成しています。その結果、業界内は職種以外にも地域・元請けとの関係なども併せて驚くほど縦割り構造となっており、横の連携が殆どなされていないのが現状です。仕事の受発注についてもそれぞれの人間関係の中で完結していることが多々あります。コロナ以前から、元請けは発注先の専門業者を探しているのに、業者側は紹介案件しか受けていない為に機会ロスが発生するミスマッチな図式はよく見られました。つまり自社が人付き合いベースで形成した狭いコミュニティ内で受発注関係が完結している状況が一般化していました。
他業界ではこうした部分について、IT化の影響で既存商習慣の見直し・機械化・商流の変化など、良くも悪くも業界内の合理化が推し進められましたが、建設業界、特に工事会社においては先述の縦割り社会と高齢化の弊害により、ITの受け入れに対する拒否反応が強く、殆ど業界内の合理化が進まないままコロナ禍を迎えてしまいました。
以上の事から、現状の工事会社による仕事量のバラつきは建設業界全体がコロナ禍で停止を余儀なくされた後、再起動した際に業界の縦割り構造がそのまま色濃く反映され、情報や仕事が偏在した結果ではないかと考えます。
ここからは、業界全体にどのような影響が出てくるか考察を進めていきます。結論としては二極化が進んで業界内の統廃合が進むという他業界が歩んできた道を辿ると思われます。しかもその流れは相当に急激に起こる可能性が高いと推測します。
一つ目の理由としては、建設業界自体は万博などの国際的なイベント・国土強靭化・インフラの再整備など今後も堅調な需要を見通すことができ、ビジネスチャンスが多いがゆえに競争が激しく行われ、業界全体の高い活力が様々な変化を促すと考えます。
二つ目はDX(ITを用いた業務変革)の導入です。コロナ禍を契機により強いDX化の流れが社会全体に生まれた為、建設業界としても対応せざるを得ません。しかし、既述の通り高齢化等でハードルが高い為、対応可能な企業は極少数に限られると思われます。ただ、対応できた企業は生産性・ネットワーク構築力・価格競争力の向上などが見込め、業界内で比較した際に圧倒的な競争力を持ちます。他方、対応できない企業はマーケット内でDX企業に太刀打ちできずシェアを奪われ続けます。高齢化と相まって市場を退場する企業が大きく増加し、結果として業界内の統廃合が進むと思われます。
三つ目は新規人材の流入です。前述した通りコロナ禍で求人数が減少すると、慢性的に人不足の建設業界に他業界から人材が流入します。一点目の理由として述べた通り、業界自体は堅調で人材需要は強く他業界からの求職者の受け皿となる状況は続きます。
まとめると、①業界として明確な需要見通しがあり活力が高く②マーケットに変革の余地が大きく③そこに新たな人材が入ってくる構造ができている、という状況が見えます。
以上を踏まえると、建設業界、特に工事会社についてはコロナ禍の影響により業界構造・働き方などが大きく改革を促される未曽有の変革期に入ると考えます。この状況下で各企業は如何に競争力を獲得するかが命題となり、結果として生き残るのは前述の通りDXを推し進める環境順応型の戦略がとれた企業と、自社の強みを研ぎ澄ましニッチな市場を開拓できたブランド化企業の2パターンに集約されていくのではないでしょうか。
以上、弊社日常業務から感じた建設業界の動向について考察を纏めてみました。
今後も、弊社HP上で建設業界に限らず代理店の立場から見える事や考察について発信していきますのでよろしくお願いします。
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